Q22: 金子氏の発言はヘイトスピーチに該当するか?

金子氏の発言

8月16日にこの問題が初めて毎日新聞社で報道されてから1カ月がたちますけれども、この間、アイヌ民族は本当にいるのか、本当に先住民族なのかという根本的な議論に臨んできた方は、残念ながら、まだ一人もいないのが現実であります。良識ある言論の府として、市議会が数の力で一つの意見を封殺しようとするのは自殺行為だと私には思えます。一方通行の決議案に時間を費やすのではなく、ぜひ双方向で私の議論に答えていただきたいと思います。(2014/9/22 札幌市議会)

金子氏に対する辞職勧告(大島薫議員)

制度や事業の運用面で不備や不正と思われる点があれば、それを正していくことは当然のことと言えますが、利権、特権と断ずる根拠は何も示されていません。ましてや、「私も選挙に落ちたら〇〇〇になろうかな」との書き込みは、差別意識がそのままあらわされているものです。差別の再生産をやめようと言いながら、アイヌ民族に対する憎悪や差別を扇動しているのは金子議員自身であります。

以上、金子議員がアイヌ民族なんてもういないとするさまざまな説明に対して、その誤りを指摘してまいりました。滅び行く民族とされる苦難の歴史を強いてきたのは、ほかでもない私たちが住む日本という国家です。そして、アイヌ民族であることを隠して生きなければならない社会が今も存在します。

国連人種差別撤廃委員会は、8月末、日本の人権状況の悪化に強い懸念を示し、日本政府に対して、国連人種差別撤廃条約に依拠して民族差別禁止のための包括的な立法措置をとることを強く求めています。また、国連人権委員会からは、アイヌ文化振興法を見直し、アイヌ民族の政策立案や土地などに関する権利を保障すべきとの勧告が出されている国際社会の現実に、私たちは誠実に向き合う必要があります。

もとより、議会及び議員は、言論の自由のもと、さまざまな課題について議論、発言することにより、市民の負託に応えることが期待されています。しかし、何を言っても自由であり、許されるということではありません。誤りを認めずに、自分に都合のいい断片的事実や根拠のない言説をつなぎ合わせて自説に固執する態度をとり続けることは決して許されないとの姿勢を札幌市議会の決意として示すべきと考えます。(2014/9/22 札幌市議会)

参議院におけるヘイトスピーチ規制法案の審議

○有田芳生君 そういう認識に立ってもらわなければ困ります。
もう一点最後に、時間が来ましたので、アイヌ民族に対するヘイトスピーチです。
二〇一四年からずっと続いております。二〇一四年八月十一日、アイヌ民族、今はもういない、二〇一四年八月二十二日、アイヌ利権がある、二〇一四年の十一月八日には銀座でアイヌをターゲットにしたヘイトスピーチデモが行われました。そういう事態が現実にあるわけですから、これはもうアイヌ民族へのヘイトスピーチについては立法事実があるんですよね。ところが、与党案では外国籍者あるいは外国の出身者が不当な差別的言動の対象になっておりますけれども、アイヌ民族については除外されている。
やはり、人種差別撤廃条約の定義に基づいて民族というものを外してはならないのではないかというのがこのヘイトスピーチ問題の核心的部分だと思いますが、いかがでしょうか。
○西田昌司君 我々側としましては、今目の前で行われてきたこの在日コリアンの方々に対するヘイトスピーチをいかにして食い止めるかという、そこを立法事実としてこの法律を作ってきたわけでございます。
もとよりアイヌの方に対する差別が、またヘイトが許されるものではありません。しかし、そこはこの法律を議論していく中で、いわゆる行政のこの法律の運用面含めて、この国会の議論の中で、アイヌの方々も含めヘイト許されないということは運用面で、運用面と申しましょうか、要するにこれ理念法でございますから、宣言することによって可能ではないかと思っております。附帯決議始め、そこにも当然含まれるんだと、そういう御意見は是非先生方からお寄せいただいて、実りある立法にさせていきたいと思っております。(2016/4/18 参議院法務委員会)

A22:

札幌市議会での辞職勧告では「ヘイトスピーチ」という用語こそ用いられなかったが、「憎悪や差別を煽動」という表現および人種差別撤廃条約に言及したことから、金子氏の発言がヘイトスピーチであるという認識であったことは明らかである。国会でのヘイトスピーチ規制法案の審議の場においては、金子氏の発言はヘイトスピーチの例として挙げられている。